閑話休題。子ども二人がいる40代フリーランス。その家族との真実の関係性を、日常風景を切り取りつつ語ります。(聞き手:本体、話し手:折田ちなむ)
(本体:以下「本」)
一応、インタビューはしますが、この話題、必要ですか?(ご本人以外興味ないでしょ)
(折田:以下「折」)
そんなつれないこと言わずにーー
けっこう、こういうプライベート的な話とか、本音の話、大事だと思いますよ。
と申しますのも、TwitterとかFacebook、LinkedInなど見てると、わりと多くの人が「きれいなこと」とか「まろやかなこと」を発信してるじゃないですか?
特に本名の場合は、表面的なことばっかり!(Twitterだと真逆に過激すぎるのもありますが)
ちょっと気持ち悪くないですか?「丁寧な暮らし」とか「聖人君子的な正論」とかばっかりの発信って。
本:
反体制的なオルタナティビスト的観点ではそうなんでしょうね。まあ、確かに「お前、そんなにいい人ぶってんじゃねぇよ!」と思うことはありますよ、たまに。
折:
ですよね~(よかった、共感してもらえて)
今回は、テーマ「家族との関係性」なので、そのあたりのさわり部分をちょっとだけ。
本:
折田ちなむさんは、ご家族との関係性は良好ですか?家族から尊敬されているとか、一家のリーダーとして家族をけん引しているとか。
折:
・・・そうです、と言いたいところですが、真逆かもしれません。
妻からは、「私に経済力があれば、すぐ離婚よ」「あなたとの老後がイメージできない」と言われます。
長男は、私がLINEを送っても、「うん」「いらない」「わかった」しか返ってきません。
次男には、ごはんも着替えも全部やってくれ、ポケモン買ってくれる「便利な召使」と見なされています。
今は少しマシになりましたが、以前は私がリビングに入るとサァッーと蜘蛛の子を散らすように、各々の部屋に家族が出ていく。そんな関係性でした。
本:
悲惨・・・、というか寂しくないですか?家庭崩壊?
折:
実はそこまで悲観していませんよ(強がり)。
実際、どの家庭もそんなもんじゃないですか?
自分が見聞きするだけでも、
・夫が「単身赴任から永久に帰ってきてほしくない」と、心の底から願っている妻
・夫婦間の会話や接点が少なければ少ないほど、平和な家族
・子どもの学校の勉強や友人関係に、過度に深入りしようとして喧嘩ばかりの親子
とかとか。
本:
なんか絶望。結婚というか、家庭を維持するって、大変なんですね。
折:
「恋愛は夢、結婚は現実」みたいなことを三島由紀夫さんだったかな?が何かのエッセイで語っていたような気がしますが、結婚や家庭は「現実」ですからね。
夫婦は全くの血のつながりもなければ、育成環境も異なり、何を大事にしたいかの価値観も全然違いますからね。
子どもも、それぞれの元からの個性や友人関係などから、独自の人間になりますし。
学校や会社などの組織マネジメントのように、目標設定や人事評価などで統制することは不可能です。
お互いの本性とか本音がダダ洩れですから。
本:
とはいっても、結婚生活15年以上、子ども二人を育てられているのは、何か秘訣があるのですか?
折:
それは、それぞれの経済合理性を考えた結果や、出会いの機会を諦めた妥協の産物、
ではなくて、家族同士の深い愛情、とでも言いたいところですが、それだと「きれいごと」ですよね。
結論は出せませんが、一応の現時点での回答をしておくと、
・何かのご縁で出会ったり、生まれたりしてしたので、それはそれで「そんなもんだよね」という感覚
・そこを深く考えたり、もっと別の何かベストがないか願ったりしても、意味がないのでは
・あとは、忍耐。我慢。忘却。嫌なことは、忘れるしかない。
本当は「他者との違いを認める」とか「みんな違って、みんないい」とかなんでしょうけど、私はその、「みんな違って、みんないい」というポリコレ(ポリティカルコレクトネス)的な言葉、気持ち悪くて嫌いです。それを言っとけば、誰からも指摘されない正義のポジションを確保できるのよ的な匂いがして。
本:
身も蓋もない、地べたを這うようなリアリスティックな回答、ありがとうございます。(内情はどうあれ)折田ちなむさんの家庭が続くことを心より祈念いたします。
折:
あとは、近くにいる家族とはいっても、「物理的な距離をとる」ことや、「グレーな部分や知らない場所を確保する」という、透明性を高めすぎないことも大事だろうなと思っています。
それは家族だけではなく、会社組織においても、ビジネス場面でも、友人関係の中でも、そこそこ良い関係性を維持する秘訣かなって思います。