フリーランスとしての独立背景 その4「離陸」

前回のコラム(2回目の独立失敗)を経て、今回は3度目の正直で本格的な独立へと”離陸”したお話になります。それは意図せぬ偶然やご縁の賜物(←ありがちな話ですね(聞き手:本体、話し手:折田ちなむ)

目次

独立前夜

絶望の5か月間

(本体:以下「本」)
前回のコラムでは独立運動の2回目がほぼ未遂に終わり、転職エージェントの営業部長に転職したというところで終わったと思います。5か月間という短期間の在籍だったそうですが、いかがでしたか?

(折田:以下「折」)
一言で言うと、「先が見えない絶望感」に苛まれた(さいなまれた)日々でした。

別にその会社がどうのこうのではなく、私の中の問題として「独立して自分でやりたい」と強く願っていたのに断念することになり、その不完全燃焼感と無目的感が強くて。
その会社で「これを実現したい」「これをやりたい」という目標がなく、ただ通勤して熱量なく仕事をするのは辛かったですね。

あと、私が所属した企業とのギャップも大きかったですね。
それまでは渋谷、横浜、品川、丸の内にあるオフィスで、ある程度の社内環境が整っていたのですが、その会社は雑居ビルで。正直ベースで、「あ、ここで俺、働くのか・・・」とモチベーションが上がらなかったのは事実です。

「回答期限は明日まで」 急展開の独立。

本:
そんな根無し草的に働いている中で、独立のきっかけは何だったのでしょうか?

折:
皮肉な話ですが、あれだけ嫌だった前職(人材サービス会社)時代の同僚からつないでもらったご縁です。

元同僚が独立し、ある外資系企業の採用支援をしているのをFacebookで知り、コンタクトを取って実際どんな感じで働いているのかを聞きに行ったんです。「実は私も独立したいんですよね」なんて相談もして。

そうしたら、当日の夕方にその外資系企業から連絡があったんです。採用活動をかなり積極的に行っており人手が足りない、業務委託で採用支援できる人を探しているという話をもらい、飛びついた形です。

急ぎの募集だし、他にも声をかけている人がいるので、1日で決断してください」という話でした。
正社員での採用ではないので、それはつまり独立するってことだよね?と躊躇する部分もありましが、「この話をビビッて断ったら、次のチャンスはないかも」と考え、すぐに業未委託の面接に進みました。

独立して体感。正社員との大きな違い

ワクワクなんてない。捨てられた子犬のような心細さと怖さ

(本体:以下「本」)
ついに念願の独立の夢を達成されたんですね!おめでとうございます。

(折田:以下「折」)
ありがとうございます。

ただ・・・当時の本音としては「僕、どうなっちゃうんだろう?」という捨てられた子犬の気持ちでした。

1.半年間の業務委託契約

半年後の契約・収入の保障はゼロ。「家族4人の生活はどうなるんだろう?」と怖くなりました。

それまでは「はやく独立したい!」と息巻いていたのですが、現実に仕事や収入の保障がない個人事業主(フリーランス)になると、その厳しい現実感がヒシヒシと押し寄せてきました。

この一人で大海に放り出されたようなリアルな怖さは、実際に独立してみないと一生わからないと思います。(今振り返ると、たいしたことはないと思えますが、当時は一大事)

2.何もだれも教えてくれない・・・

正社員などで転職をすると、入社時の案内や研修があると思うんです。オフィス入館の方法はこうで、最初の4日間は受け入れ研修ですよ、みたいな。

ただ、私の業務委託の場合、業務開始初日に「どこに、何時に行く」も連絡がなく、とりあえず早い時間にオフィス前に行って待っていた、という形で、不安しかなかったですね。

foreign company

わからないことだらけ。部活の新入生状態

本:
なかなかな塩対応ですね。とはいえ外資系企業での業務委託は順調にスタートできたのですか?

折:
幸い、良い方々も多くて実務部分はサポートしてもらったり、中途採用業務については知見があったので、それほど苦労せずに業務にはキャッチアップできました。

外資のスタートアップ企業だったので、ハードワークが良しとされていたので、そこもストイックに長時間労働の対応可能な私にはフィットしていたのだと思います。

本:
順調すぎて。それはそれでつまらないですね。苦労したこととかないんですか?

本:
それはたくさんありましたよ。今振り返ると、よくやってたな自分、と褒めてあげたいです。

1.英語の壁

外資系企業なので、採用管理システム(ATS)も外国製で英語デフォルト、社内でもエンジニア中心に英語の会議、転職エージェントも外国人の方が多くて語学には苦労しました。

ビジネス英語力がないので、通訳してもらったり、電話で込み入った英語の対応に困ると「あ、今から会議なのでまたメールしてください」と逃げていました。

2.外資や業界の専門用語の壁

今となっては普通ですが、「TBD(To be determined=未確定)」や「WFH(Work From Home=在宅勤務)」ってなに?という感じで、周囲に聞くのは恥ずかしいので、わかったふりして後で調べたりしていました。

他にもRSU(Restricted Stock Unit=譲渡制限付き株式ユニット)という、2018年当時の日本ではあまり一般的ではなった報酬制度についても触れ、勉強にはなりました。

3.鬼の業務量

その外資系企業が日本での急成長を目指す立ち上げ期に入ったこともあり、業務が超ハードワークでした。

経営陣以下、外資金融や外資IT、コンサルファーム出身の方々がほとんどで、優秀な上に超働くんですよ。朝の5時~夜の2時くらいまで。あと、土日も無関係ですね。

私のような業務委託の外部人材は「ハードに働いて役割果たすのが当たり前」なので、毎日3時間とか4時間睡眠で働いていました。
土日も採用イベントを自社でよくやっていたので、6か月働いた中で丸々休んだ日は年末年始除いてゼロでした。

hard work
本:
吐き気を催しそうな働き方ですね・・・。まあ、折田ちなむさんは「Mr.ストイック」と呼ばれていたくらいなので、それが良かったのかもしれませんが。

折:
当時は、「これがフリーランスとして独立したのだから当然」「クライアントの期待に120%以上応えるのがプロフェッショナル」なんて考えて、自分に自分で酔っていたのかもしれません。

次回は、クライアントは変わりながらも仕事と収入は増えていく。けれど、「このままの働き方でいいの?」と疑問が頭をもたげてくるフリーランス1年目~2年目のお話ができればと思います。

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この記事を書いた人

折田ちなむ (chinamu oruta)のアバター 折田ちなむ (chinamu oruta) オルタナティビスト/人事領域コンサルタント

◆オルタナティビスト:既存の価値観や視点ではなく、「alternative(オルタナティブ)=別の生き方や見方」を探す人。
◆スタンス:「Unique,Ironical,Nature」をモットーに、「それ、みんなもおかしいと思ってない?!」という本音をアンチテーゼとして発信。
◆「折田ちなむ」とは:世に溢れかえる、ありきたりで横並びのSEOコンテンツではない、本音を発信するためのペンネーム(オルタナティブ→おるた)。
◆プロフィール:40代男性/家族(妻、息子2人)/人事領域のフリーランスコンサルタント(人材業界約15年、国家資格キャリアコンサルタント、2018年独立)/東京・神田にオフィス/某国立大学大学院修了/関東在住/人口3万人の海辺の田舎町出身/市民ランナー(サブ3目標)/読書・書評系Podcast運営

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