<山伏修行 体験記> vol.1「生まれ変わりの山」(出羽三山 2023年8月)

2023年夏。山形県鶴岡市にある大聖坊にて、待ちに待った山伏修行に参加した折田ちなむ氏。
全6回に渡って山伏修行について体験レポートをしていきます。全体を通じたキーワードは「感じること/直感」。第1回目は山伏修行の概要です。(聞き手:本体、話し手:折田ちなむ)
他の体験レポートはこちら:2回目「感じる・直感」を取り戻す3回目「祈り/inori」を忘れた日本人4回目「それぞれの縁起をきる」5回目「山伏修行から考えるサービスとは?」6回目「修行の思い出 5選」

目次

出羽三山での山伏修行 オルタナティブな在り方

出羽三山(山形県鶴岡市) 月山・羽黒山・湯殿山

(本体:以下「本」)
山伏修行とは、かなりユニークな体験をしてきたのですね。オルタナティビストの面目躍如ですね。
ではまず、どこで修行を行ってきたのかや、そもそも山伏修行の歴史という概要から教えていただけますか?

(折田:以下「折」)
まず場所については、山形県の鶴岡市にある出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)にて、2泊3日の山伏修行に参加してきました。

山伏・修験道(山岳信仰)の起こり・歴史については、飛鳥時代(593年~694年)の役小角(えんのおづね)が開祖ともいわれますが、ほぼ同時期の約1400年前(もしくは先に)に鶴岡の地でもスタートしていたようです。

本:
飛鳥時代と言われても、ほぼ歴史の教科書と「まんが日本の歴史」で触れたくらいで、ピンとこないくらい昔のことですね。

折:
蘇我馬子・聖徳太子、という名前が出ると、「あー、そのあたりのことね」とご理解いただけると思います。

蘇我馬子が崇峻天皇を暗殺した際(592年)、聖徳太子が崇峻天皇の息子・蜂子皇子(はちこのおうじ)を匿(かくま)い命を救ったそうです。その後、蜂子皇子は京の丹後から鶴岡に船で逃れ、鶴岡の地で出羽三山を開いたとされています。

1400年以上の歴史がある信仰の聖地 出羽三山

本:
なるほどー、今なんとなく学校で覚えた歴史の知識と山伏がつながりました!1400年以上の歴史がある信仰の場なんですね。

ちなみに、Googleで「山伏修行」と検索すると複数出てくるものの、全くの素人が参加できるものがパッと見当たらないのですが、どこで山伏修行をされたのですか?

折:
山伏修行は、京都・奈良・和歌山(例えば大峰山)や、東京の御岳などでも開催されているようですが、確かに一般的に認知されているものでも、気軽に参加できる感じのものでもないですよね。

私もいろいろ検索したものの、参加の方法などがいまいちわからず、5年ほどコーチングをしてもらっているコーチの方が過去に参加した出羽三山の「大聖坊」を勧められ、こちらに決めました。

生まれ変わりの山 出羽三山

過去・現在・未来を経て、生まれ変わる

本:
また別の回で山伏修行の具体や参加しようと思った動機などは詳しく伺いたいと思いますが、この修行の場である出羽三山はどんな特徴があるのでしょうか?

折:
出羽三山は、「生まれ変わりの山」と言われていて、興味を惹かれた第一ポイントですね。

3つの山が、「過去・現在・未来」を司る。

そして山は「人間の胎内」も意味するので、山(胎内)に入って一度死に、里(平地)に戻って“死を飛び越えて“新たな生命に生まれ変わる。そんな意味合いがあるようです。

月山(がっさん)

過去:死後の安楽と往生を祈る山。阿弥陀如来。

羽黒山(はぐろさん)

現在:現世の幸せを祈る山。観世音菩薩。

湯殿山(ゆどのさん)

未来:生まれ変わりを祈る山。大日如来。

湯殿山 入口

山伏修行の申込方法は?人気ぶりは、さながら“ジャニーズか大聖坊か”

本:
「生まれ変わり」とは、なかなか刺激的なネーミングですね。(不惑となれない40代にはピッタリかも)

ところで、山伏修行は面白そうですが、ぶっちゃけ、ちょっとオルタナティブすぎて、「変わり者」の人たちだけが好む特殊な世界な印象があって、参加する人もかなり少ないんじゃないですか?

折:
私もコーチから山伏修行を紹介されたとき、同じように考えていました。

ところがですよ、大聖坊の山伏修行は「超」が3つくらいつく大人気で、毎年4月1日の朝9時にFacebookからの申し込みが約10分で満席になるほどなんです。
「大聖坊:山形県出羽三山の宿坊 Facebookページ」https://www.facebook.com/daishobo

25名×3~4日程が一気に埋まり、キャンセル待ちが数百名という規模。

ちなみに、費用は修行自体が4万円ちょっと。加えて宿泊費や交通費含めると人にもよりますが、10万円前後かかりますし、また会社員の人だと有給とったりの調整も必要なので、なかなかの気合と覚悟が必要だと思います。

これらの障壁・前提条件を踏まえての、「10分で満席・キャンセル待ち数百名」なので、かなりの人気です。参加していたある女性は「ジャニーズか、大聖坊か」の二択とまで仰っていました。※ジャニーズの名称をこの2023年のタイミングで使うのは躊躇われましたが

(修行に参加した感想でいうと費用以上のものは十二分に得られますが)費用と手間・工数をかけて、私が参加したときは、北は北海道、南は京都の方が参加していました。

大聖坊サイトより
本:
そんな大人気なんですか?!意外すぎますね・・・そんなニッチでオルタナティブな世界があるとは。

折:
私は4月1日・9時の申し込み開始に合わせて、PCを更新しまくり、辞書登録(住所や携帯番号など)を駆使し最短で申し込み項目を入力できるようにし、2番目の参加申し込みだったようです。

世間一般の主流からすると、イロモノ・変わった世界かもしれませんが、こういったオルタナティブな世界観の意味や価値を感じる人たちも実はたくさんいらっしゃるんです。

さて、次回(2回目)の体験レポートでは、山伏修行の内容をお伝えしていきたいと思います。

※大聖坊の山伏修行は内容詳細を開示不可(これから修行に参加される方の体験をより良いものにするため)のため、書籍等で既に公開されている内容+開示して問題のない範囲での体験記とさせていただきますが、それでも十分刺激的な内容だと思います。

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この記事を書いた人

折田ちなむ (chinamu oruta)のアバター 折田ちなむ (chinamu oruta) オルタナティビスト/人事領域コンサルタント

◆オルタナティビスト:既存の価値観や視点ではなく、「alternative(オルタナティブ)=別の生き方や見方」を探す人。
◆スタンス:「Unique,Ironical,Nature」をモットーに、「それ、みんなもおかしいと思ってない?!」という本音をアンチテーゼとして発信。
◆「折田ちなむ」とは:世に溢れかえる、ありきたりで横並びのSEOコンテンツではない、本音を発信するためのペンネーム(オルタナティブ→おるた)。
◆プロフィール:40代男性/家族(妻、息子2人)/人事領域のフリーランスコンサルタント(人材業界約15年、国家資格キャリアコンサルタント、2018年独立)/東京・神田にオフィス/某国立大学大学院修了/関東在住/人口3万人の海辺の田舎町出身/市民ランナー(サブ3目標)/読書・書評系Podcast運営

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