「パプアニューギニア海産」という社名も独特ですが、「出社日・時間、やる仕事も自由」という独自の経営を行う会社について扱います。(聞き手:本体、話し手:折田ちなむ)
(本体:以下「本」)
従業員が好きな時間に働くとしたら、食品会社として生産や出荷とか、どうされているんですか?
(折田:以下「折」)
私も「これで経営できるの?嘘じゃない?」と思いました。最初、愛聴するラジオ局・J-WAVEの「JAM THE PLANET」で、このパプアニューギニア海産のことを知ったとき、ただただ驚いたのを思い出します。
で、気になって代表の武藤北斗さんが書いた書籍「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」も購入して読んでみました。
本:
ヤフーニュースにもなっていますね。けっこう話題なんですか?
折:
独特の会社経営ですから、例えばサイボウズ式でもサイボウズ社の青野社長と対談したり、働き方関連のセミナーでも登壇されていると思いますよ。
本:
1991年創業で30年以上も事業継続しているので、「フリースケジュール制」は機能しているんですね。
折:
正確には、創業からは宮城県石巻市に会社・工場があり、2011年の東北大震災を機に大阪に会社ごと移転され、そのあとに「フリースケジュール制」を導入されたようです。
それでも10年以上も継続されているんですよね。
本:
オルタナティビスト視点で特に注目したのはどこですか?
折:
まずは、パプアニューギニア海産社も、やはり既存の経営の王道ではない道を選択しているところです。
普通の組織だと、従業員・パートの退職が続いたり、生産量・売上が上がらなかったりすると、教育研修をしたり、中間管理職がマイクロマネジメントをしたり、生産性向上の取り組みをしたり、だと思うんです。
けれど、パプアニューギニア海産さんは、「人を縛らない経営」を選び、結果として「人が辞めない職場」、「商品の品質や生産性の向上」、「人件費の減少」などの大きな経営効果をもたらしているとのことです。
本:
「仕事内容を選べる」というのも衝撃的ですが・・・
折:
ですよね。どうも、「嫌いな仕事はやってはいけない」というルールがあるようです。
一般的に、「嫌い・苦手な仕事こそ、自分に欠けていることだから克服すると成長する」なんて言われるじゃないですか?
それはそれで正しい部分もあると思いますが、中長期的に嫌いな仕事を続けられないと思います。
パプアニューギニア海産さんでは、とはいえ「好きな仕事なんてわからない」という従業員の方もいらっしゃるので、「好きな仕事を選択しないのもよし」としているそうです。
「好きな仕事を選択する」のも、ある人からするとプレッシャーだと思うので、代表の武藤北斗さんと全員1対1で面談を定期的に行い、ゆっくりじっくり働き方を決めたり、途中で変えたりしていくそうです。
本:
パプアニューギニア海産さんの会社規模はどのくらいなんでしょうか?
折:
従業員27名で、内訳は代表1名、社員3名、パート23名とのことです(企業HPより。2023年6月時点)。
こういった小さな組織だからこそ、仕組み化・形骸化から逃れることができるのかなと改めて感じますし、大きさや早さを追求するのは、その先に地獄があるのは見えているから、ちょっとナンセンスかなとも思いますね。
恐らく、パプアニューギニア海産さんも500名、1000名と規模が大きくなったら、この形での継続は難しいのではないかと思います。
本:
ちなみに、ここまで激賞するパプアニューギニア海産さんの商品(パプアニューギニア海で獲れた天然エビ・惣菜)は食されましたか?
折:
実は私、強度の魚介類アレルギーで・・・
その中でもエビが一番の天敵なので、会社のことは興味津々ですが、商品は一生味わえなさそうです、残念ながら。